ストールは1日に4枚を目安に染めています。それは、干し場やガス台、鍋の数などの物理的な理由もあるのですが、ていねいに染めることを心がけると4枚がちょうど良いのです。それ以上染めようとすると、染めムラが出てしまったり、結果的に余計な時間がかかってしまうこともあります。
ストールを染める時は、煮染めした後、染液がしっかり冷めるまで2〜3時間ほど待っているので、3回染め重ねると約10時間かかります。朝7時頃から染め始めると、夕方5時まで作業しています。もっと効率的に染められたらな〜と思ったりもしたのですが、植物からいただいた色を布にしっかりと染み込ませるためには、これくらいの時間は必要だと考えています。
どの植物染料も最後まで使い切るをモットーに、そして最後は畑で土に還ってもらうようにしています。薄くなった染液でも淡い色に染めておいて、後日重ねて染めます。下の写真は煮出した後のヤシャブシの実。タンニンが豊富に含まれていて、捨てようと思っていた染液からタンニン鉄液なるものを作れることを知り(by現代農業)、それが土の栄養にもなるらしく、ますますヤシャブシLOVEです!
畑で植物染料を種から育てているのも、地産地消のようなもので、畑の中で循環させたいと考えているからです。栽培できる植物ならなるべく育て、自然環境を壊さないような栽培方法を選び実践しています。
草木染めはエコなイメージがありますが、最低限の薬品を使いますし、たくさんの水や火が必要です。なるべく1年間で売り切れる量だけを染めて、過度な在庫は持たないように心がけています。この塩梅がなかなか難しいのですが(全く売れないものもあったり!苦笑)必要な人に届いてくれれば嬉しいなぁと思いながら染めている日々です。
栽培した津久井在来大豆や黒大豆も、食用にならなかったものは保存しておいて、呉汁に使用します。絞りカスも畑の土に還ってもらうので、ゴミになりません。
畑の境界線の、伸びすぎて伐採された杉も染めに使えることを知り採集してきました。花粉の季節には嫌われ者の杉も、角度を変えて眺めてみれば、価値のあるものになります。
杉の皮も少しいただいてきました。杉を使った染めは昔から行われていたそうです。今年からは、畑で採集できる植物や雑草を使って染めに挑戦していこうと思っています。
リネンガーゼストールが少しずつ染め上がってきました。今週末からオンラインショップにて販売予定です。